ご挨拶GREETING
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。この度、令和6(2024)年8月22日(木)、23日(金)の両日、金沢大学・角間キャンパスにおいて、第32回日本運動生理学会大会を開催するにあたり、ご挨拶申し上げます。
日本運動生理学会が発足後、石川県で年次大会が開催されることは初めてのことです。今大会の開催を故・西平賀昭 先生から打診された際、故・竹宮隆 先生の故郷(羽咋市)であったことを思い出しました。両先生には大学院時代の講義や論文副査で大変お世話になりました。日本運動生理学会の設立趣旨書(日本運動生理学雑誌:1994年初号)には、健康生活の増進や競技力の向上といった社会的要望の顕著な高まりに対する生理学的な論理応用と基礎研究推進の必要性が述べられています。また、後継者育成において大学機関における運動生理学領域の存続と発展とともに、刺激的で魅力ある学会の必要性にも触れられています。その後30余年の間に、当初2000名ほどいた会員数は半減してしまいました。背景には、運動生理学分野の基礎と応用の乖離や関心領域の細分化、大学の学部改組や少子化などの社会変化が挙げられるかもしれません。こうした実情から金沢大会では、『未来社会へ向けた運動生理学の先鋭と融合』のテーマを掲げました。運動生理学はスポーツや身体教育の必要性を最も主張できる確かな学問であるとの見識に立ち返り、再び本大会で多様な関心を持つ研究者が一同に会し、現在から未来へ向けて、社会問題に対する学術的解決を図る融合の協議の場となることを期待して企画しました。超スマート社会(Society 5.0)が加速する中、猛威を振るったコロナウィルス感染症(Covid19)による感染症への危機感、今年元旦の能登沖地震や豪雨などの自然災害による健康への影響、高齢者のみならず年少層から生産年齢層の運動習慣化、障がいや性別の差別のない包摂的な社会参画等、本邦における健康・スポーツに纏わる多様な社会問題が存在します。こうした社会的課題の解決のために、運動生理学を専門とし、多様な専門性の研究者が結集して果たす本学会の学術的役割が益々大きくなるものと確信しております。
本大会ではシンポジウム15企画に加えて、特別講演、教育講演、4つのランチョンセミナーを併せて企画し、運動生理学の多様な分野の最新知見を提供していただく予定です。また、一般発表(口頭・ポスター)と合わせて若手研究者や学生の参加と発表を奨励し、優秀な研究発表には奨励賞を授与する予定でおります。どうぞご期待下さい。
最後に、本大会の開催にあたり、金沢大学の共催をはじめ、ご協賛・ご寄付を賜りました多くの企業・個人の皆さまのご支援をいただき、厚くお礼申し上げます。2日間の短い会期ですが、大会参加者の皆さまにとって有意義な大会とできるよう万全の準備をもってお待ち申し上げます。
令和6年7月 吉日
第32回日本運動生理学会大会
大会長 増田 和実(金沢大学人間社会研究域 教授)